

今回は先回に引き続き、ペリー来航時に発行されたかわら版の一枚を紹介します。当館収蔵かわら版を蒐集した吉田正太郎は、多くのかわら版を自分なりに人物・汽車・船・下田などと適当に分類していましたが、これらの中には虚偽こもごも風刺をきかせ、当時の世相や庶民の気持ちを鮮やかに伝えているものがあります。
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図は、怒ってふくらんだフグに武具をダブらせて描かれています。つまり、約200年に及ぶ江戸の封建時代は、幕末、たった4隻のペリー率いるアメリカ艦隊の来航で幕を閉じますが、実はこの頃、封建時代の平和の中で武士たちは戦いもなく、鎧兜や槍刀などは無用の長物、売り払ったり、質屋に送り込んだりして日々の世過ぎに当てていた始末でした。
そこに黒船襲来、世は大騒ぎ。武士たちは、幕府の江戸湾沿岸防備(御固め)のお声が掛って急遽鎧兜が必要になり、高値となった武具を整えてこれに当ったというわけです。なお、本文のはじめには ー異国渡来の海辺に浮き上がり毒気を吹き 万国のものども右毒魚を見ると等しく毒気にあたるー とあり、末尾には ー神国の御恵みが偉大であり、人々の気持ちは安堵し、目出度し目出度しー と結んでいます。
黒船来航の頃はフグが海岸に打ち上げられる頃であったか否かは確かではありませんが、異国の人々はフグの毒で直ちに退散し、それも神国だからというのも面白いではありませんか。
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まさに、しゃれっ気たっぷりに庶民の攘夷の気持ちをあらわした世相風刺のかわら版といえます。